2020年は、ベートーヴェン生誕250年でした。2022年は没後195年になります。クラシック音楽ファン50年のともやんが、ベートーヴェンの作品の名盤をご紹介します。
『 NO MUSIC, NO LIFE. 』 タワーレコードの公式通販
もう長らく僕のコレクションとして所有していますが、なかなかしっかりと聴いて記憶がありません。
その他のシューリヒトのCDはよく聴いていますし、しかもベートーヴェン全集という貴重なものでもありにも関わらず、どうして積極的に聴かなずに来たのか、省みてみました。
やはり、福島章恭著『交響曲CD 絶対の名盤』で書かれているようにその理由が大きいのかもしれません。
『ステレオとモノラルの音質の差、そこから受ける感銘の度合いの違いは、あまりに大きい。もし全曲がステレオでリリースされていれば、この全集の価値はさらに大きなものとなっていただろう。』
実は、そんなことを気にしていたのかと思われるかもしれませんが、この全集がステレオだったらもっと聴き込んでいたことは確かなことと思います。
実際、今回改めて聴いてみると第3番「英雄」は、こんな壮絶な演奏だったんだと感銘を新たにしたものです。
あともうひとつ大きな問題があり、オーケストラがパリ音楽院管弦楽団だったということです。これがもしウィーン・フィルだったら全く違う扱いだったと思います。
またオケが二流と平気で書いている評論家もいたように思います。
しかし、2016年に本気のリマスターでしかも第九のステレオ盤も収録されたことで、この全集を改めて素晴らしいものと世に問い質したと思います。
僕は自分への反省も含め、シューリヒト&パリ音楽院管によるベートーヴェンの交響曲全集は、死ぬ前に必ず聴きたい名盤です。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン - Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第1番 ハ長調 Op. 21
Symphony No. 1 in C Major, Op. 21
1.(08:11) I. Adagio molto - Allegro con brio
2.(05:57) II. Andante cantabile con moto
3.(03:25) III. Menuetto - Allegro molto e vivace
4.(05:55) IV. Finale: Adagio - Allegro molto e vivace
total(23:28)
録音:1958年9月27,29日 サル・ワグラム、パリ
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交響曲第2番 ニ長調 Op. 36
Symphony No. 2 in D Major, Op. 36
1.(09:58) I. Adagio molto - Allegro con brio
2.(12:05) II. Larghetto
3.(03:19) III. Scherzo: Allegro
4.(06:45) IV. Allegro molto
total(32:06)
録音:1958年9月26,27日 サル・ワグラム、パリ
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交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
Symphony No. 3 in E-Flat Major, Op. 55, "Eroica"
1.(14:11) I. Allegro con brio
2.(15:39) II. Marcia funebre: Adagio assai
3.(05:33) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(11:06) IV. Finale: Allegro molto
total(46:29)
録音:1957年12月18,20,23日 サル・ワグラム、パリ
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交響曲第4番 変ロ長調 Op. 60
Symphony No. 4 in B-Flat Major, Op. 60
1.(11:39) I. Adagio - Allegro vivace
2.(09:18) II. Adagio
3.(05:26) III. Allegro molto e vivace
4.(06:56) IV. Allegro ma non troppo
total(33:19)
録音:1958年9月23,25,26日 サル・ワグラム、パリ
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交響曲第5番 ハ短調 「運命」 Op. 67
Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67
1.(07:30) I. Allegro con brio
2.(09:40) II. Andante con moto
3.(05:10) III. Allegro -
4.(08:57) IV. Allegro
total(31:17)
録音:1957年9月25,27-29日 サル・ワグラム、パリ
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交響曲第6番 ヘ長調 「田園」 Op. 68
Symphony No. 6 in F Major, Op. 68, "Pastoral"
1.(09:20) I. Awakening of Cheerful Feelings Upon Arrival in the Country: Allegro ma non troppo
2.(12:30) II. Scene by the Brook: Andante molto mosso
3.(04:58) III. Merry Gathering of Country Folk: Allegro
4.(03:36) IV. Thunderstorm: Allegro
5.(08:36) V. Shepherd's Song: Happy and Thankful Feelings after the Storm: Allegretto
total(39:00)
録音:1957年4月30&5月6日 サル・ワグラム、パリ
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交響曲第7番 イ長調 Op. 92
Symphony No. 7 in A Major, Op. 92
1.(11:21) I. Poco sostenuto - Vivace
2.(07:52) II. Allegretto
3.(07:19) III. Presto, assai meno presto
4.(06:57) IV. Allegro con brio
total(33:29)
録音:1957年6月11,12日 サル・ワグラム、パリ
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交響曲第8番 ヘ長調 Op. 93
Symphony No. 8 in F Major, Op. 93
1.(09:09) I. Allegro vivace e con brio
2.(03:49) II. Allegretto scherzando
3.(04:56) III. Tempo di menuetto
4.(07:51) IV. Allegro vivace
total(25:45)
録音:1957年5月7-10日 サル・ワグラム、パリ
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交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」 Op. 125
Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125, "Choral"
作詞 : フリードリヒ・フォン・シラー - Friedrich von Schiller
1.(14:54) I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso
2.(11:11) II. Molto vivace
3.(16:10) III. Adagio molto e cantabile - Andante moderato
4.(22:28) IV. Finale: Presto - Allegro assai
total(64:42)
ウィルマ・リップ - Wilma Lipp(ソプラノ)、
マルガ・ヘフゲン - Marge Hoffgen(コントラルト)、
マレイ・ディッキー - Murray Dickie(テノール)、
ゴッドローブ・フリック - Gottlob Frick(バス)
エリーザベト・ブラッスール合唱団 - Chorale Elisabeth Brasseur
録音:1958年5月27-29,31日 サル・ワグラム、パリ
パリ音楽院管弦楽団 - Paris Conservatoire Orchestra
カール・シューリヒト - Carl Schuricht (指揮)
ベートーヴェン: 交響曲全集 (+ステレオ版 第九)<タワーレコード限定> カール・シューリヒト パリ音楽院管弦楽団
シューリヒト芸術の集大成であるベートーヴェン:交響曲全曲が待望の初SACD化。ステレオ版の「第九」を別途収録。
シューリヒトがパリ音楽院管弦楽団と残した旧EMI音源の名盤を初SACD化。良質なマスターから新規で復刻を行い、稀代の名演が鮮明に蘇りました。全9曲に加え、ステレオ版の「第九」を別途収録。シューリヒトの至芸が凝縮された完全限定盤です。
今回の復刻のために、本国のマスターから96kHz/24bitでデジタル化したマスターを用い、SACD層、CD層別々にマスタリングを新規で行いました。永久保存盤です。ウィーン・フィルと録音したブルックナー3曲とともに、シューリヒトが旧EMIレーベルに遺した偉大な録音。ブルックナーはこれまでSACDを含め何度も再発をされてきましたが、このベートーヴェン全曲はモノラル録音ということもあってか、これまで良質な復刻には恵まれてきませんでした。
CD時代では初期から発売はされていたものの、ようやく2012年に海外リマスター盤が出るなど、演奏の素晴らしさに比較して、冷遇されてきたとも言える音源です。
演奏は、数あるシューリヒトの録音のなかでも特に素晴らしいもののひとつであり、当時のパリ音楽院管弦楽団が持つ優美な音色は、現在では特に失われた響きを懐かしむ点も含め、評価されるべきポイントのひとつです。
特に木管楽器やホルンは出色。このオケの特筆と、当時録音するにあたりシューリヒトがパリ音楽院管を選択したという点も、加えて興味深い要素でしょう(尚、録音にあたりウィーン・フィルではなくこのオケを選んだ理由は、ブックレットの満津岡氏による記述に詳しく掲載されています)。しかし当時のリリース時は多難な船出でした。EMIは当時モノラルからステレオの移行期であり、DECCAとの最後の録音となった「未完成」と「ハフナー」はステレオ録音だったのに対し、その後のEMIのこの録音はモノラル収録であったこともあってか、当時ドイツとアメリカでは発売されませんでした。
イギリスでも「英雄」と第7番以外は廉価盤として発売されたという経緯があります。日本では全集として発売されながらも、当時の評論家には両者の組み合わせを疑問視する向きが一部にあり、正当な評価がされていなかったのではという疑念が残ります。
しかし一方で多くのリスナーはこの音源だけが持つ特筆に早くから気付き、未だに多くのファンに愛されている名盤として長きにわたって支持されてきたことも事実です。これまでの喉の渇きを癒してもらうが如く、今回のSACD化はこの名盤の素晴らしさをあらためて発見することに繋がるでしょう。
さらに今回の復刻では、ステレオ版である「第九」も収録しました。当時実験的な面で同時収録されており、このステレオ版はモノラル版と音源が同一と思われてきましたが、第1楽章のみ別テイクであることがはっきり確認できました。
演奏時間がステレオ版は約1分長くなっており、演奏のニュアンスが違うことが聴き比べるとわかります。また、今回あらたに当時の資料として、「第九」ステレオ収録時の「録音編成ノート」が発見されました(ブックレットにコピーを掲載)。それによると、ステレオ版収録時の録音年月日や各楽器の人数、弦楽器の各プルト数まで記載されています。
尚、今回の各曲の録音年月日はワーナーの最終資料に基づいていますが、例えば「第九」のステレオ録音は、第4楽章だけ別の1日で収録されていたことがわかります(尚、未発表資料ながら、「第九」の第4楽章のみ、前年の1957年の12月30,31日にセッション録音されていた新発見の記録が見つかりました。音源は未確認ですがソリストが2名、異なっていました)。
興味深い資料とともに、満津岡氏による序文解説もお楽しみください。今回の復刻では、音質はより聴きやすく、見通しが良くなっていることで、細部にわたりシューリヒトの細かな配慮やオーケストラの息使いがわかるようになりました。モノラル録音ということを超えて、この素晴らしい音色が堪能できると思います。響きの豊かさに加え、解像度とエネルギー感も増しています。
特にステレオ版の「第九」、なかでも第4楽章は顕著に感じることでしょう。このシリーズでは、SACD層では伸びのある高域と柔らかなニュアンスと共に高い解像度と豊かな音場を、CD層はまとまったしっかりとした音と共に押し出される実在感ある音色を楽しむことができます。CD自体のポテンシャルも高く、むしろ両方の良さを堪能できるSACDハイブリッド盤としても、市場にその意味を問いたいと考えている商材です。
ともやん 64才 横浜在住。
2019年7月に38年勤務した会社を退職し、現在自営とアルバイト生活。
ポップにライトでプロティアン・キャリアを実践する音楽好きおじさんです。
家族は妻と猫2匹。三人の子供たちは成人しています。
クラシック音楽を聴き始めて50年。好きな作曲家は、もちろんベートーヴェン。
聴き始めたころは、生誕200年としてお祭り騒ぎのようでしたが、先年の生誕250年は、コロナ禍によりコンサートが思うように開催できなかったので残念でした。
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